論文紹介の仕方(1)論文の選び方編

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研究室に配属されると、論文紹介を研究室のセミナーで行います。
今回は論文紹介の経験がほとんどない人に向けてどうやって準備すればいいのかと紹介しようと思います。

私もうまくやる方法がわからず、迫りくるセミナーに向かって吐きそうになりながら必死に準備したことがあります。

少しずつコツをつかんで、今ではわかりやすく論文を紹介できるようになってきました。

今回は論文紹介のやり方についてわかりやすく解説していこうと思います。あくまで私の経験にもとづいていますので、各自の状況にあわせて取り入れやすそうなものを実践してみてください。

論文紹介の手順をざっくりまとめると、

  1. 論文を探す・選ぶ
  2. 論文を読む
  3. 発表のスライドをつくる
  4. 発表する

4つのステップにわかれます。それぞれにポイントがあるので、ステップごとに解説していきたいと思います。

今回は第1回、論文を探す・選ぶステップについての解説です。

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なぜ論文を読むのか?

まず皆さんの論文を読む目的は何ですか?

先生から「論文紹介をして」と言われたとしても、そこには目的があります。

具体的に考えられる論文を読むを目的をいくつあげてみましょう。

  1. 科学研究の最前線を知るため
  2. 研究するための知識をつけるため
  3. 研究データの扱い方、論理の組み立て方を知るため

科学の発見は論文に残されます。毎日新しい論文が発表され、科学が発展しています。最新の研究事情を知るには1次情報ソースである論文を読むのが一番です。

また論文を読むことで理論やモデルをより具体的に理解することができます。論文は必ず実験結果に基づいて書かれています。どんな論理でモデルがつくられていくのかを知ることができるので、自分の研究に落とし込んで、次にどういった実験をすればいいのかを考える練習にもなります。

「巨人の肩の上に立つ」という言葉があります。自分自身は小さくても、巨人に登り肩の上に立って見れば、遠くまで見渡すことができる。先人の知識を土台にすれば、新たな発見をすることができるということのたとえです。
論文を読むということは、巨人の肩に登ることです。ぜひ知識を身に着け、いままで見ることができなかった遥か彼方まで見通すことができるようになってみてください。

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選び方の結論:できるだけ新しく、重要な発見をした論文を選ぶ

新しい論文は新しい知識に基づいている

論文にはその論文が書かれた時の最新の事情がかかれています。昔の最新事情と今の最新事情は変わっているはずです。そのためできるだけ新しい論文を選びましょう。

古い論文は昔の知識を土台にかかれていて、今の最新の知識は抜けています。研究は日夜進歩しているので、できるだけ新しい論文を選んで新しい知識を吸収しましょう。

重要な発見は次の時代をつくる

さらに次の10年の前提になるような重要な発見をした論文を選べると最高です。大きな発見はそれ以降の研究に影響力を与えます。たくさんの論文に引用され、そこから研究が発展していきます。

将来自分が読む論文にも引用される可能性も高くなるので、読んでおくと後々役に立ってきます。

選ぶ論文の分野は、自分の興味 ✕ 相手の興味

論文は自分の研究と関わりがある分野がいいです。自身の研究の土台としての知識を固めることができるからです。

ただし、ゼミで発表するのであれば他の人の研究にも関係がありそうな分野や聞いてる人が興味を持ちそうな分野を選べるとさらにいいですね。みんなで楽しめる論文紹介にしましょう。

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論文の探し方

どういう論文を探すかきまったら、実際にその論文を探し出す必要があります。世の中にはたくさんの論文で溢れかえってます。その中からどうやってベストな1本を選ぶのか解説していきます。

Google scholarで検索

インターネットでできるだけ新しく、重要な発見をした論文を探すには、Google scholar がおすすめです。
自分の研究のキーワードとして検索してみましょう。キーワードは英語で入力します。日本語でも検索はできますが、研究論文は英語で書かれるのが一般的なので、世界中の論文を対象に検索するために英語で入力しましょう。

キーワードはより具体的なものがいいです。抽象的なものだとかなりの数の論文がヒットしてしまうので、その中から選んでいくのは難しくなってしまいます。自分が研究している因子の名前を盛り込んで検索してみましょう。

検索結果から最新の重要な発見を探す

Google scholarでは、論文が発表された年を指定することができます。10年や5年でしぼって、より新しいものだけを検索することができます。これで古いものを排除して新しい論文だけを選択肢に残すことができます。

次に、被引用数が多い論文を見てみましょう。重要な論文ほどたくさん引用されます。ただし古い論文のほうが多く、新しい論文のほうが少なくなってしまう傾向があります。このとき着目したいのはその論文が掲載された雑誌です。

有名な雑誌ほど発見の重要度が高いものがのります。生物系ではNature, Cell, Scienceといった雑誌は有名で、そこにのった論文はたくさん引用されます。

雑誌の有名度合いがわからない場合はインパクトファクターをしらべてみましょう。インパクトファクターは掲載された論文の引用数から算出する値で、雑誌の有名度が高くなるにしたがって上がる指標です。

レビューは避ける

論文紹介ではレビュー(総説、reveiw)は避けたほうがいいです。論文にもいくつか種類があり、その中の1つがレビューです。

レビューでは、今までの論文をまとめて、ある分野の研究の概要について紹介しています。研究の概要をつかむにはとても便利ですが、実際の実験結果を示しているわけではないので、その論文だけでは具体的にどういった実験をしたのか理解することができません。

そのレビューが引用している論文を見ればエビデンスを知ることができますが、それらを1つ1つ追っていくと膨大な量になってしまいます。そのため論文紹介には不向きといえます。

検索結果のリンクから論文の掲載されているページに飛んでいくと、そこに記事の種類がでてきます。レビューの場合は、ページのはじめの方に"Reviews"と書かれているので、そこで確認することができます。

選んだ論文が適当か先生に確認する

面白そうな論文が見つかったら先生に確認してみましょう。

誰かが発表していてみんな知っている場合や、発展した内容の論文がでている場合もあります。そういった場合はもっといい論文を先生に教えてもらったり、もう一度探し直してみましょう。

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まとめ

どんな論文を選べばいいのか」と「どうやって論文を探すのか」について解説しました。

論文選びは論文紹介の最初の関門であり、かなり重要なステップです。

自分の役にたち、研究室の他の人にも面白いとおもってもらえるものを探すのは一苦労ですが、そんな論文を見つけ出せれば論文紹介の成功に大きく貢献すること間違いなしです。じっくり時間をかけて探してみましょう。

次回は、論文をどうやって読んでいくのかについて解説していきます。

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