大学4年となり、研究室に配属されると、論文紹介を研究室のセミナーで行います。
今回は論文紹介の経験がほとんどない人に向けてどうやって準備すればいいのかと紹介しようと思います。
私はいろいろな失敗を経験して、論文紹介が上達してきました。そのなかでも論文紹介においてここはポイントと思えることをまとめてお伝えしようと思います。
あくまで私の経験にもとづいていますので、各自の状況にあわせて取り入れやすそうなものを実践してみてください。
論文紹介の手順をざっくりまとめると、
- 論文を選ぶ
- 論文を読む
- 発表のスライドをつくる
- 発表する
今回は第2回 論文を読むステップです。
英語でかかれた長い長い論文をどうやって読み進めていくと効率的か?
論文を読む上で覚えておきたいテクニックをまとめました。
目的をわけて2回読みがおすすめ!
私のおすすめの読み方は、
まずざっと通しで1回読む
スライドを作りながら2回目にじっくり読む
という読み方です。私がこの読み方をおすすめする理由は読む目的が明確になるからです。漠然と論文を読んでいるとさっぱり内容が頭に入ってきません。論文には聞き慣れない専門用語が次々に出てきて、いろいろな実験結果が羅列されていきます。よくわからないと思いながら頑張って読んだのに、最初の内容は全然覚えていない。なんてことになりかねません。
そうならないために2回にわけて理解することを変えて読んでみましょう。
ざっと通し読み。キーワードはなにか?
まず1回目は全体の流れを意識しましょう。初めて読む分野の論文は何が重要になるのかがわからない場合が多いです。どの因子がキーになるのか。それを頭の片隅においておきましょう。
1回ですべて理解することはできません。理解できても忘れます笑
わからなくてもどんどん読み進めていきましょう。わからないと思ったことでも読み進めていくうちに「あっそういうことだったのね」と腑に落ちることもあります。
重要なことは繰り返し出てきます。
説明できるまで読み込む!
次に2回目にはそのキーなる因子について実験によって何がわかったのかについて意識しましょう。
2回目読むときは、同時に発表用のスライドを作成してもいいと思います。知ったことを伝えようとすると、理解が不十分だったところがわかってきます。なぜそう言えるのか?という疑問が次々にわいてくると思います。疑問をひとつひとつ解決していきましょう。
出てきた疑問を解決していくためには、答えを論文の中から見つけなければなりません。あとでこのときとても役に立つ「検索コマンド」について説明します。
全文訳はつくらない
全文を日本語訳していると時間が足りなくなります。わからない単語の訳を書いておくくらいにしておきましょう。論文の訳を発表することは、論文紹介の目的ではありません。論文を理解しわかりやすく説明することが目的です。
また英文を日本語にすることで細かい意味合いが変わってしまいます。できるだけ英文のまま理解しましょう。
「そんなこといっても英語じゃわからない!」という方はあとで紹介するDeepLという機械翻訳サイトがおすすめです。
英文の特徴:抽象→具体
論文を読む上で覚えていたほうがいいことがあります。それは、英文では「抽象的なことを先に書いて、具体的なことをその後に書く」ということです。
「こういったことを確かめました」と書いてから、「(そのために)こういう実験をしました」という流れは特によく出てくるパターンです。この構造をつかめてくると英語論文がとても読みやすくなってきます。抽象の部分でこれから書かれてくることをまとめてくれているので、整理しながら読んでいくことができます。
パソコンは、最強の情報収集ツール
読む媒体は、紙と画面どっちがいいのか迷うかと思います。私は以前は論文を紙に印刷していましたが、最近ではパソコンで読んでいます。
パソコンで読むことのメリットにインターネット検索できるという点があります。
論文を読んでいく中でわからないことはいろいろでてきます。その度に検索するので、パソコンで読んでいるといちいちパソコンやスマホを取り出さなくていいので作業効率がアップします。手入力も不要でコピペでいけます。
辞書を引きたいときはクリックすら不要なMouse Dictionaryという機能もあります。引用文献にもすぐにリンクから飛んでいけます。パソコンは情報を集めるには最強のツールです。
論文を読むために便利な道具たち
検索コマンド(キーボードショートカット)
- Mac: command + F
- Windows: Ctrl + F
検索しながら読むのに強力なのが検索コマンドです。WebページでもPDFでも検索コマンドを使えばパソコンがキーワードを見つけてくれます。
例えば「がん」との関係性についてどこかで言及していたよな〜と思ったら、検索コマンドを入力してから"cancer"と入力すれば、"cancer"がでできたところが検索候補としてあがります。その中から自分が探していたところを見つけてくれば、高速で論文から情報を確認することができます。
DeepL
日本語訳がほしいという方には、DeepLがおすすめです。翻訳サイトなんですが、とても自然な日本語を返してくれます。一昔前の機械翻訳より段違いに性能が上がっています。一度だまされたと思って使ってみるといいです。良すぎて自力で訳すのがおっくうになってしまいます笑
しかし、やはり訳すとわかりにくくなってしまったりニュアンスが異なってしまったりするので、英文のままで理解することをすすめます。正確な情報を手に入れるために、1次情報の重要性がさけばれていますが、英語でつくられた情報は訳した時点で二次情報というぐらいの感覚でいたほうが賢明です。
Mouse Dictionary
カーソルを英単語の上に持っていくだけで日本語訳が表示される。そんな夢のような機能もあります。Google Chromeをつかっていたら”Mouse Dictionary”という拡張機能をインストールしましょう。ほかのWebブラウザーにもそれに相当するものがあります。
アンチ全訳主義な私はMouse Dictionaryをつかっています。
紙とペン
最後に古典的な道具を持っていました。複雑なことを理解するには書き出すことが一番です。
パソコンは情報を得るためにとても強力な道具ですが、アイディアをまとめるには少し不便です。
情報を頭の中で整理するために紙とペンを使いましょう。
紙とペンなら自由にアイディアを表現することができます。キーポイントをイラストにしてみましょう。うまくまとめられたら発表のスライドで使うのもありだと思います。
まとめ
今回は論文をどうやって読んでいくかについて紹介しました。
紹介するために理解するという目的を忘れずに、パソコンやインターネットをフル活用して効率よく読んでいきましょう。
次回は、論文紹介のためのスライドの作り方についての解説です。ではまた。
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