【利己的な遺伝子】生物は神秘じゃない、複雑な機械だ

生物学

利己的な遺伝子」という本を知っていますか?

この本が出版されたのは1976年。世界的なベストセラー、ロングセラーとして何度も重版されている本で、いまも読みつがれている本です。

生物学の中でも進化行動学というかなり限定的な分野について書かれた本が、なぜここまで売れ、多くの人の心にささったのか?

それは、生き物の生き残りをかけた行動についてわかりやすく解説されているだけでなく、生命を客観的にとらえ直す行為が面白いところにあると思います。

私の感想も交えながらこの本の概要と面白さを紹介していきこうと思います。

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生物は神秘じゃない、複雑な機械だ

Photo by Eric Krull on Unsplas

この本を最初に読んだ時、一番衝撃を受けた内容がこれでした。

生物は神秘的な存在でなく、複雑な機械である」と考える。それによって、神秘的な生物の行動も科学的に説明がつきます。この本では動物の行動について科学的に説明されています。

体内時計も遺伝子の複雑な制御によって生み出されているリズムだし、免疫反応もいろいろな役割の細胞たちが互いに連携しておこなっている反応です。

一見神秘的にも見えるこれらの生命現象も分解してみると機械的に遺伝子や細胞が働きあってできたものだとわかって来ました。

つまり、「生物は進化という長いプロセスの中で形づくられていった複雑な機械である」考えることができます。

この感覚が多くの人にとって衝撃で何十年にもわたってこの本が読み継がれる理由だと思います。

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仲間のための行動は"優しさ"じゃない

本書では動物の行動について多く紹介されていますが、その中でも神秘的に見える「仲間のために自己犠牲」的な行動について取り上げています。

本書によるとこの神秘的に見える「仲間のために自己犠牲」でさえも遺伝子の利己性によって科学的に説明できるそうです。

まず本書では「個体(1匹の生物)は遺伝子の乗り物である」と考えています。

つまり個体の中心にあるのは精神ではなく遺伝子であると考えます。

ちょっと受け入れにくいように感じますが、遺伝子は個体を形作り維持しているので、よくよく考えてみるとこの説明は納得できます。

そして重要なのが、血縁関係が近いほど同じような遺伝子を持っているという点です。同じ種の個体同士、親戚、親兄弟と遺伝子が共通している確率は上がって行きます。

仲間のため(利他的)に見える行動も、同じ遺伝子を持っているものを助ける行動になり、遺伝子にとってその行動は自分の自身を守る行動になります。

よって、個体レベルで見たら利他的な行動でも、遺伝子レベルでみたら利己的な行動とみることができるのです。

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利己的な遺伝子は結果的に生き残っただけ

ここで注意をしておきたいことが、「遺伝子は意思を持って行動するわけではない」ということです。

遺伝子は個体をつくるために働いているだけ。意思決定に直接は関わりません。

利己的な遺伝子という言葉だけ聞くと、悪い遺伝子が体を乗っ取りコントロールしているというイメージをもってしまいがちです。

しかし遺伝子が利己的に見えるのは”結果論”としてという話です。利己的にふるまってやろうと目的を持っているわけではありません。

遺伝子が乗り込んで影響を与えた乗り物(個体)がうまく生き残れれば、遺伝子も生き残りやすい。

結果として、遺伝子は利己的なものに見えます

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まとめ

「利己的な遺伝子」は生物をかなりドライな視点でとらえています。そこが日常的な感覚と違うため新鮮でおもしろいです。

興味をもった人はぜひ読んで見てください。生物の行動に対するとらえ方が大きく変わるはずです!

 

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