ゲノム編集は今ものすごい速さで発展しています。
最近はゲノム編集食品について話題になることが多いですが、生き物である私たち人間にもゲノム編集は可能です。
今年(2019年)の4月に中国でゲノム編集された双子の赤ちゃんが誕生したと発表され、世界に衝撃を与えました。
ゲノム編集を医療の分野で使うことは今まで治せなかった病気を治すことができるようになると言われており期待されていますが、まだまだヒトにゲノム編集をすることに対するリスクや倫理的な問題が残されています。
今回は医療のためのゲノム編集についてまとめてみようと思います。
ゲノム編集された赤ちゃんが誕生
今年(2019年)の4月に、中国でゲノム編集された双子の赤ちゃんが誕生したと発表されました!
この発表は世界に衝撃を与えました。
エイズに抵抗性を持たせるためのゲノム編集が行われたと言われています。
しかしこの操作を行ったことで別の病気にかかりやすくなり、寿命が縮まるのではないかという考えを持った専門家もいます。
ゲノム編集は画期的な発明として医療の分野で使うことも期待されていますが、まだまだ課題があるのも現状です。そのためこの発表には世界各地から非難の声が発せられました。
ヒトをゲノム編集することのリスク
ゲノム編集はまだまだ若い技術なので問題点もあります。
その1つがオフターゲットという問題です。
オフターゲットとはゲノム編集で意図しない遺伝子を編集してしまうことを言います。ゲノム編集食品でもこのオフターゲットは問題になっていますが、医療にとってはもっと重い課題になります。
なぜなら医療で行うゲノム編集は失敗が許されないからです。食品に行うゲノム編集において、最悪失敗してしまったら、その生き物を適切に処分すれば、被害を防ぐことができます。
しかし医療ではゲノム編集を受けるのは人間です。そのため間違った編集を受けてしまってもその人が一生をおえるまではそのゲノム編集の影響を受け続けなければなりません。もし重要な遺伝子を傷つけてしまったらその人は障がいを持ってしまうかもしれません。
また受精卵の状態でゲノム編集を行えばその効果は、その人の子ども、さらにその先の子孫にまで影響が残り続けます。
食品と医療の分野を比べると、医療の方がはるかにリスクに慎重になる必要があります。
遺伝子による病気とゲノム編集
遺伝子による病気
医療の基礎研究の発展によって、さまざまな病気の原因となる遺伝子がわかってきました。
遺伝子は生き物のパーツの設計図です。この設計図がおかしくなったら、生き物の本体に病気として影響が出てきます。
実はがんも遺伝子が原因で起こる病気です。
がんは手術をして腫瘍を切除したり、抗がん剤で進行を遅めたりする治療が一般的です。しかし遺伝子が原因で起こっている病気なので、このような治療では根本的な解決はできません。
がんのような遺伝子が原因の病気は、原因となっている遺伝子をなんとかしなければ治らないのです。
解決策としてのゲノム編集
遺伝子が原因の病気の治療法としてゲノム編集が注目されています。
ゲノム編集は狙った遺伝子を編集することができるので病気の原因となっている遺伝子がわかっていればその遺伝子を編集することができます。正常の人の遺伝子の情報を持たせておけば、異常な遺伝子を削除し正常な遺伝子の情報に書き直すことが可能です。
ゲノム編集は病気の原因遺伝子書き換えることができるため、とても効果的な治療法になるはずです。
これからはどうなるの?
これからもゲノム編集を医療に応用していくための準備や研究は行われていくでしょう。
ゆくゆくは患者の細胞から作ったiPS細胞をゲノム編集して患者に移植するということも可能になるかもしれません。
しかしこれはまだまだ先の話になりそうです。今のところは技術が確立されるのを待っている状態です。
ゲノム編集は非常に強力な技術なのでその技術をつかって病気で困っている人を救いたいと思うことはいいことだと思います。また今まで直せなかった難病を治すことができるようになったらとても素晴らしいことです。
しかし人のゲノムに対する操作はその人の子どもにも影響が出る可能性があります。そのため慎重に行わなくてはなりません。
中国でゲノム編集が行われた子どもが生まれた時にも、他の方法はなかったのかという疑問が投げかけられていました。
またゲノム編集を乱用すれば生まれてくる子どもを自分の思い通りにデザインすることも可能になってしまいます。これは命の選別と呼ばれ倫理的に非常に問題があります。こうしたことから、どこまでゲノム編集で解決していいのかを決めることは重要です。
ゲノム編集は最後の手段にしておいて他の方法による解決を第一に考える、というようにゲノム編集を簡単に使えないようにする仕組み作りが必要だと言われています。
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