DNA・RNA・タンパク質。それらの関係「セントラルドグマ」

生物学

生物学にはたくさん用語があります。たくさんの用語の中でもDNA、RNA、タンパク質の3つは物質の名前です。どれも遺伝子に関わる物質です。今回は生物にとって重要な物質たちについて解説をしていきます。3つの物質が関わってくるセントラルドグマという概念についても紹介します。

*の項目は少し専門的な内容です。ざっくり理解したいだけなら読み飛ばしてOKです。

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DNA

DNAは一番よく聞く生物用語だと思います。正式名称はデオキシリボ核酸(Deoxyribonucleic acid)この物質は遺伝子の情報を保管している重要な物質です。DNAはたくさんの小さなパーツ(ヌクレオチド)がつながってできた物質です。たくさんの小さなパーツ(ヌクレオチド)は4種類あります。この4種類のパーツをうまく並べることで遺伝子の情報を表現しています。

*ヌクレオチドは塩基、糖、リン酸からなる物質です。
*普段は染色体のなかで二本のDNAの鎖(くさり)が結合して、らせん状になっています。
*4種類ヌクレオチドの違いは、ヌクレオチドに含まれる塩基の違いです。DNAの塩基にはアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)があります。
*遺伝子の情報をどうやって記録しているかは下の記事で解説しています。

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RNA

RNAはDNAの親戚のような物質です。正式名称はリボ核酸(Ribonucleic acid)。DNAの正式名称から「デオキシ」がなくなっただけですね。RNAも遺伝情報を持つことができる物質です。情報の表現の仕方もDNA同様4種類のパーツの並び方を使っています。

RNAは3種類あります。それぞれ働きが違います。
DNAと同じく遺伝子の情報を運ぶという役割をになっているのはmRNAと呼ばれるものです。DNAと違い、mRNAは一時的にしか遺伝子の情報を持ちません。役割を果たしたmRNAはすぐに分解されてしまいます。情報を使いたい時に一時的に書き写すメモのような感じです。
2種類目のRNAは、rRNAというリボソームを構成するRNAです(rRNAのrはリボソームのrです)。リボソームはrRNAとタンパク質からなる物質でmRNAの情報を元にアミノ酸をつなぎ合わせ、タンパク質を作ります。リボソームはタンパク質の工場と言えます。
3種類最後のRNAであるtRNAもタンパク質を作ることに関わります。tRNAはリボソームにアミノ酸を運んでくる役割を持ったRNAです(運搬を意味するtransferのtです)。

*物質としてDNAと違うところは構成している糖の種類と塩基の種類です。DNAを構成している糖から酸素原子が1つなくなったものがRNAで使っている糖です。RNAの塩基はほぼDNAと同じですが、チミン(T)はなく、その代わりにウラシル(U)があります。
*基本的には一本の鎖で存在します。
*ウイルスの中にはRNAを遺伝情報の保管用に使っているものもいます。

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タンパク質

タンパク質は生命活動を維持する役割を持っています。いわば生命活動の主役です。RNAの遺伝情報によってアミノ酸をつなぎ合わされて作られます。生命維持に関わる化学反応を進めたり、体の材料になったりしています。
タンパク質が関わる生命活動は、消化、呼吸、運動、思考などなど……。ありとあらゆるところに関わります。少し例をあげてみましょう。ご飯に含まれるデンプンを分解するときにはアミラーゼというタンパク質がこの反応を助けます。ペプシンはお肉や魚に含まれるタンパク質を分解します。また髪の毛を作っているケラチンもタンパク質です。さらに体中に酸素を運んでいるヘモグロビンもタンパク質の1つです。タンパク質をあげるとキリがありません。タンパク質はたくさん存在し、その働きによって生命が維持されています

*タンパク質を構成しているアミノ酸は20種類あります。20種類のアミノ酸はそれぞれ特徴が違い、タンパク質の構造や働きに関わっています。
*タンパク質の機能はその立体構造によって生み出されます。つまりタンパク質をちゃんとした形にすることは生き物にとって重要です。タンパク質を作る時に分子シャペロンという入れ物によってタンパク質を保護して、間違った形になることを防いでいることがわかっています。

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DNA、RNA、タンパク質のつながり

細胞の中では、DNAの持っている遺伝情報をmRNAに書き写して(転写)、mRNAの情報を元にアミノ酸をつなげてタンパク質を作っています(翻訳)。この過程をセントラルドグマと言います。なんとなくカッコいい言葉ですね。日本語に無理やり訳すと中心教義で、中心となっている宗教の教えや絶対的な概念というような意味になります。

セントラルドグマは文字通り生物を作り上げている物質たちの基本概念です。DNA→RNA→タンパク質という情報の流れは基本的には一方向です。セントラルドグマは、DNAの変化が生命活動に大きく関わるタンパク質を変える可能性があることを示しています。だから遺伝情報を保管しているDNAはとっても大切な物質なのですね。

セントラルドグマ

*実はセントラルドグマは絶対的ではなくなりました。なぜならRNAからDNAを作るという現象(逆転写)が発見されたからです。DNA⇄RNA→タンパク質という概念が現在の生物学では主流です。

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まとめ

生物に関わる物質

DNA
遺伝子の情報を保存しておく物質。

RNA
遺伝子の情報を一時的にメモしたり、タンパク質を作る時に関わる物質。

タンパク質
遺伝子の情報で作られた物質。生命を維持するための化学反応に関わったり、生き物の体の材料になったりする。

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