生物学の分野紹介!今あつい分野はどこ?

生物学

生物学にはたくさんの分野があり、生物学を学んだことのある人はあつかっていることの幅広さに驚いてしまいます。

僕は大学で生物学を専攻していますが、いろいろな分野の授業を受けました。細胞の話もあれば遺伝子の話も、もっと大きな環境の話もありました。

今回は生物学をあまり詳しく知らない人向けに生物学の分野について紹介したいと思います。さらに今どの分野があついのかについても紹介します!

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生物学の分野を紹介

生物にはたくさんの分野があります。

しかし分野ごとに扱うスケールは大きく違います

DNAやタンパク質のような分子を研究する人は数 nm(ナノメートル)のスケールの話をしますが、渡り鳥のような長距離を移動する生き物を研究する人は数千 kmという大きなスケールの話をします。

このように生き物は見るスケールによって見えてくる現象が大きく異なります。今回はたくさんの生物学の分野を、あつかっている大きさのスケールごとに紹介しようと思います。

分子のレベル

分子生物学

細胞の中にはDNAやタンパク質といった分子があります。これらの分子はそれぞれ機能を持っていて生命の維持に必要です。
このような生物を構成している分子をもとに、生物に関する現象を研究する分野が分子生物学です。
どんどん勢いを増している分野です。生体分子を用いた実験方法もたくさんあるため、方法として分子生物学を使っているところも多いです。

遺伝学

遺伝という現象とその原因物質である遺伝子を研究する分野が遺伝学です。
遺伝子がどのように機能するのかを明らかにしていきます。遺伝子はいろいろな病気とも関わっています。
がんも遺伝子によって引き起こされる病気の1つなのでがん研究にも遺伝学は関わってきます。

生化学

タンパク質の機能を解析したり体内の化学反応を研究する分野です。
細胞をすりつぶして中にあるタンパク質を取り出すことから実験がスタートします。
生物学の中でも比較的化学や物理の知識が必要となる分野です。

細胞から個体レベル

細胞学

生物の基本単位は細胞です。
細胞学では、代謝や細胞分裂、シグナル経路などを生きている細胞を対象に研究します。
研究対象が細胞なので、特殊な種類の細胞、例えば神経細胞やがん細胞についても研究している分野になります。

発生学

受精卵から始まった1つの生命がどのような過程を経て成熟した個体になるのかを研究するのが発生学です。
1つの個体がどうできるのかという個体レベルの話を研究するだけではなく、どのようにいろいろな種類の細胞が生み出されていくのかという細胞レベルの話についても研究しています。

解剖学

生き物の体の構造を解剖することで理解しようという分野です。
解剖学自体は最近研究されることは少ないですが、個体の中でどのようにその構造が作られるのかという疑問は発生学に、進化の中でどのようにその構造を獲得していったのかという疑問は進化学に引き継がれています。

個体より大きいレベル

生態学

個体間の相互作用や個体と環境との相互作用を研究する分野です。
個体の行動や個体群の相互作用について研究します。
近年話題の環境問題も研究しています。

進化学

生物の多様性を生む進化のプロセスについて研究する分野が進化学です。
系統や個体群を対象に研究することがあるので個体より大きいスケールに分類しましたが、DNAなどの分子データを用いた解析を行うことも多いです。

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今あつい分野は分子生物学

現在、一番熱い分野は分子生物学です。

分子生物学が登場する前の生物学は胡散臭さがありました。

しかし遺伝子としてDNAが見つかったり、酵素の機能がタンパク質の立体構造によるものだとわかったりしたことで、一気に生命現象が実体のあるものになり、説得力が増しました。

生命の設計図である遺伝子の実態がDNAだとわかったことで実験手法も大きく変わりました。他の分野でも手法として分子生物学を使うことも多いです。
また近年の研究では、モデル生物を使ったものが多いです。

モデル生物は実験に適した生き物のことです。一般的に、実験室で飼いやすいように一生が短く体が小さい生き物が選ばれます。遺伝子を操作しやすいようにゲノムサイズが小さいものが選ばれることも多いです。

代表的なモデル生物は、ショウジョウバエ、ゼブラフィッシュ、マウス、シロイヌナズナです。

実験に適しているからという理由のほかにも、たくさんの研究者が同じ生き物を使うことで知識の共有がしやすくなるという側面があります。

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なぜこんなに分野が分かれているのか

生物学には創発性という考え方があります。

生き物は細胞からできていますよね。でも生き物(1個体)は細胞と同じものではありません。

細胞がたくさんあつまることで、神経や筋肉という特定の働きを持った細胞の集まり(組織)ができて、さらに組織が集まることで生き物の体ができます。細胞の状態では歩いたり、考えたりすることはできませんが、ヒトのような生き物1個体の状態になるとそのようなこともできるようになります。

つまり1個の部品ではできなかったことが、部品が集まることで可能になります。これが創発性です。

だから細胞だけ見ていても生き物を完全に理解することはできません。

細胞を作っているものを見るひとがいれば、細胞を見る人、細胞の集まった組織を見る人というように各段階でそれぞれを研究しています。それぞれの大きさのレベルで知識を増やすことで生き物を深く理解しようとしているのが生物学の実態です。

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まとめ

今回は生物学の分野についてまとめてみました。研究者たちはいろいろな大きさのレベルで生き物をみています。

たくさんの分野がありますが生き物を理解するためには全ての分野が重要です。


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