相同組換えをわかりやすく解説!

生物学

相同組換えは遺伝学でもバイオテクノロジーでも重要な生命現象です。しかし専門用語がたくさん出てきたり、いろいろな種類があったりするので理解しにくい現象です。今回は相同組換えについてできるだけわかりやすく解説していきたいと思います。

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相同組換えのしくみ

そもそも相同組換えとは?

相同組換えは、切断された染色体(二本鎖DNA)を配列がよく似ているDNA(相同なDNA)を用いて修復することで、染色体にのっている遺伝情報の組み合わせを変える現象です。

染色体(DNAの二本鎖)が切れてしまうと遺伝子の情報が分断されたり、染色体が分解されたりしてしまいます。そうならないために切れた染色体をつなぎ直さなければなりません。相同染色体同士はとてもよく似ているので切れていないほうの相同染色体のDNA配列を参考にして切れてしまった方の染色体のDNAを修復します。

しかしこの時完全に元どおりの染色体に修復されるわけではなく、少しだけことなった塩基配列に変わります。場合によっては、DNA修復によって絡まったDNAの鎖を解くときに、染色体の構成が大きく変わることもあります。

ではDNA修復の過程では何が起きているのでしょうか?

DNAレベルの分子メカニズム

DNAレベルで相同組換えについて見ていきましょう。相同組換えにはいろいろな種類がありますが、以下の2つのステップは全ての相同組換えで共通しています。

相同組み換えの共通ステップ
  1. 染色体DNAの二本鎖切断
  2. 切れ端部分の3'末端を分解

二本鎖切断を受けた染色体のDNAはまず切断箇所の3’末端を分解します。そうすることで切断箇所の5’末端だけが一本鎖DNA(ssDNA)の状態になります。この一本鎖DNAを相同なDNA配列と対合させることでDNA合成の起点にさせます。

相同組換えには4つの方法があります。

  • Double strand break repair (DSBR)
  • synthesis-dependent strand-annealing (SDSA)
  • Single strand annealing (SSA)
  • Break-induced replication (BIR)

一番重要なのは一番上のDSBRです。
順番に見ていきましょう。

Double strand break repair (DSBR)

DSBRでのDNA修復

DSBRは、染色体の構成を大きく変える可能性がある相同組換えです。切れた方の染色体のDNAの二本の鎖をそれぞれ相同染色体のDNAの鎖にくっつけて、それを鋳型にDNAを合成し直します。
このDNA合成は、ホリデージャンクション(Holiday junction)と呼ばれる、合成したDNAが絡み合ったような構造を作ります。

ホリデージャンクションの構造は複雑なので、下の図をみてください。このホリデージャンクションの解消の仕方によって染色体の構成は大きく変わってしまいます。塩基対合し直す分離(Dissolution)という方法とDNA切断で戻す方法があります。

ホリデージャンクションを解消するためのDNA切断の仕方は2パターンあります。図中では青と緑の矢じりで区別しました。青で示した部分でDNAを切断して再結合させたときにできるDNAと緑で示した部分でDNAを切断して再結合させたときにできるDNAは変わってきます。

ホリデージャンクションの構造。A, B, C, Dは位置関係をわかりやすくするための目印。

DSBRでは2つのホリデージャンクションが作られます。片方を青パターン、もう一方を緑パターンで切断すると、染色体はもう一方の染色体(対合していた相同染色体)につながれます。この現象を交差(Cross over)といいます。またホリデージャンクションでのDNA切断をどちらも緑のパターンで行うと交差なしでDNAが解かれます。

DSBRの修復結果(交差なし)
DSBRの修復結果(交差あり)。交差が起こると、赤い染色体に青い染色体がつながれ、青い染色体に赤い染色体がつながれる。

Synthesis-dependent strand-annealing (SDSA)

SDSAでのDNA修復

この方法は1つ前のDSBRと違い、一本鎖だけを相同染色体を鋳型にして合成します。もう1つの鎖は相同染色体と対合しません。差し込んだDNAの一本鎖を引き抜いて、その一本鎖DNAで切れ端同士を橋渡しをすることで染色体をつなぎ直し、鋳型をもとにDNAを合成し直します。切れ端同士をつなぎ合わせたあとは相同染色体は必要なくなります。

Single strand annealing (SSA)

SSAでのDNA修復

一番シンプルな相同組換えです。切れ端のある反復配列を使って直付けする方法です。他の相同組換えと違って、相同染色体を使いません。その代わり切れた染色体にある繰り返し配列を使います。切れたDNAの末端同士に相同な繰り返し配列がある場合のみ行える相同組換えです。DNAの鎖の末端を紙テープと紙テープをのり付けするようなイメージです。のり付けなので、のりしろの部分は重なってしまい全体の長さは短くなってしまいます。マイクロサテライトと呼ばれるような重要な意味はなく反復する配列でDNAの二本鎖切断が起こった場合には、簡単にDNAをつなぎ合わせることができる有効な方法と考えられます。ただし完全な修復ではなく、切断された場所の近くにある配列がなくなってしまうので、遺伝子のように重要な情報を持っている配列を直すときには適していません。

Break-induced replication (BIR)

BIRでのDNA修復

途中で終わっている染色体の続きを相同染色体の配列を使って合成していく方法です。DNAの片方の鎖だけを相同染色体から合成して、もう一方の鎖はその新しく合成された鎖を鋳型に作っていきます。DNA複製中に複製が止まってしまい、切り離されてしまった中途半端な染色体の修復や染色体の末端にあるテロメアを伸ばす方法にもなります。

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相同組換えが起こるとどうなる?

相同組換えは切れてしまった染色体を直すことができます。染色体には私たちの体のパーツの設計図である遺伝子が載っているので切れたままではその情報が失われてしまいます。

また相同組換えは染色体にのっている遺伝情報の組み合わせを変えることができます。言い換えると相同染色体同士で同じ位置にある遺伝子をシャッフルすることができます。交差を起こすことによって染色体の構成を大きく変えて、新しい染色体を作ることができます。これは染色体の種類が増やすことができるので遺伝的多様性を高める働きがあります。また相同組換えはバイオテクノロジーで遺伝子組換えを行うときにも用いられます。DNA修復のときに使う相同性の高いDNA配列の間に外来の遺伝子を入れることで染色体の中にその遺伝子をかきこませることができます。

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参考資料

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