遺伝子組換えとは?わかりやすく解説!

バイオテクノロジー

遺伝子を組み替える。こんなことを言われてもなかなかイメージしづらいですよね。今回は遺伝子組換えについて解説したいと思います。
実際にどのようにDNAを操作することで組換えを起こしているのかについては、相同組換えとアグロバクテリウム法という代表的な方法を紹介します。

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遺伝子組換えとは

遺伝子組換えとは、生き物のゲノムから遺伝子をなくしたり、別の生き物の遺伝子をゲノムに入れたりする技術のことです。

遺伝子はどんなものでも入れることができます。同じ種が持っていた遺伝子はもちろんのこと、全く別の生き物の遺伝子を入れることもできます。動物と植物の間で遺伝子を交換することも可能になります。

生き物の特徴の多くは遺伝子によって決まっています。環境からのストレスにどれだけ耐えられるかや成長のコントロールにも遺伝子は関わっています。

ただし新しく役に立つ遺伝子は簡単には生まれません。長い時間と偶然によってその生き物の役に立つ遺伝子が生まれます。ある生き物にある特徴を持たせたいと思った時に長い時間をかけて待つことは大変です。何千年、何万年という長い年月がかかったり、偶然によるところもあるので気が遠くなるほどの長い年月を待っても欲しい特徴を作る遺伝子が生まれない可能性もあります。

そこで研究者たちは生き物の持っている機能をもとに遺伝子を移植することを思いつきました。これが遺伝子組換え技術です。

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遺伝子組換えの方法

遺伝子をある生き物から別の生き物に移植するって簡単そうに言うけど、実際は難しいのでは?と思ったかたもいるかもしれません。実は意外と簡単に遺伝子を移植できます。

遺伝子組換えにはもともと生き物が持っている相同組換えというシステムや細胞に感染する生き物の仕組みを使っています。もともと自然界にあったものを工夫して使っているのです。今回は遺伝子組換えの方法について2つ解説しようと思います。

  • 相同組換え
  • アグロバクテリウム法

この2つの方法は遺伝子組換え実験でよく使われてます。相同組換えは動物でも植物でも使われますが、アグロバクテリウム法は植物に使う方法です。

相同組換え

同じDNA配列を持ったところ(相同な領域)で起こる組換えのことを相同組換えといいます。遺伝子組換えを起こさせる時は生き物に入れたい遺伝子の前後にもともと生き物が持っているDNAの配列を入れておきます。

そうすると相同な配列の間の遺伝子がゲノムの中に入りこみます。結果的に生き物が持っていなかった遺伝子を組み込むことができます。

DNAの青い領域が相同な領域。相同組換えでもともとなかった遺伝子が組み込まれる。

アグロバクテリウム法

植物に感染するアグロバクテリウムという細菌が感染する働きを用いた方法もあります。アグロバクテリウムは木にこぶができる病気(クラウンゴール)の原因となる生き物です。

アグロバクテリウムが植物に感染すると自身にとって心地よい環境を作るために、自分の遺伝子を感染した植物に組み込み、その遺伝子を発現させます。
この感染するシステムを応用して遺伝子を植物に入れることで遺伝子組換え生物を作ることができます。

アグロバクテリウム法についてはこちらの記事で詳しく解説しています!

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遺伝子組換えの応用

遺伝子組換えは遺伝子を自由に他の生き物に移植できる技術なので、使い方によってはとても役にたちます

日常生活ではあまり触れることはありませんが、生物学の研究ではよく使われています。特に分子生物学では、なくてはならないと言えるほど重要な手法です。

研究

遺伝子組換えは生物学の研究でよく使われています。遺伝子の機能は、遺伝子をなくすとどうなるのかということを観察することでわかります。遺伝子組換え技術を使うと狙った遺伝子を壊すことができるため遺伝子の機能をしるためにはなくてはならない技術です。

なくなって初めてわかるありがたさをイメージするとわかりやすいです。ある日赤ペンを忘れたとしましょう。いつもは何気なく使っていた赤ペンがないとあることを書くときに赤ペンの役割を再確認できます。

こんな感じで遺伝子の働きを調べるときも同じように、その遺伝子をなくしてみてどうなるかを見てみるという方法はよく使われています。

品種改良

私たちは生き物を食べることでエネルギーや体を作る栄養素をとっています。
食品にも遺伝子組換えの技術は応用されています。

遺伝子組換えの技術を使えば、従来の品種改良よりも早く良い作物をつくることができます。

従来の品種改良では良い作物をつくるためには何世代も交配を繰り返してほしい特徴を持った生き物を探します。交配は偶然によって遺伝子を分配していくので、欲しい特徴がいくつもある場合はなかなか欲しい特徴を全て持った生き物があらわれてくれません。
一方で遺伝子組換えを使えば遺伝子を1個追加するだけなのでもともと持っていたいい特徴はそのままに新たな特徴を持たせることができます。もともと優秀な作物の弱点を補うように遺伝子を選んで組み込むだけなのでとても簡単に良い作物をつくることができます。

しかし遺伝子組換え作物は一般にはまだ受け入れられていないのが現状です。遺伝子組換えによって生き物の性質が変わるので、その影響によって意図しない変化が生まれてしまう可能性があります。このことが消費者の不安になっています。

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まとめ

遺伝子組換えは生き物のゲノムから遺伝子をなくしたり、別の生き物の遺伝子をゲノムに入れたりする技術のことです。簡単に言うと、遺伝子を移植する技術です。
研究や品種改良にも遺伝子組換えは使われています。

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