秋になると葉っぱが色づき、山々は黄色や赤色になります。
このきれいな光景は植物の体の中の変化によって生み出されています。
今回は紅葉の起こる仕組みと、そもそもなんで木は紅葉するのかということ解説していこうと思います。
どうやって紅葉するのか?紅葉のしくみ
紅葉の仕組みには2つのパターンがあります。
- 緑色が消えてもともとあった他の色が見えてくるパターン
- 緑色が消えて新たに他の色が作られるパターン
葉っぱが黄色に色づくのはパターン1で、赤く色づくのはパターン2です。
どちらも葉っぱの緑色がなくなるところまでは一緒です。黄色の紅葉と赤色の紅葉ではそのあとに起こることが違います。
順番に見ていきましょう。
緑が消えてもともとあった他の色が見えてくるパターン:カロテノイドが目立つ
まずおさえておいて欲しいのが葉っぱの中にはいろいろな色素が入っているということです。
その中でも一番多く含まれている緑色の色素はクロロフィルといいます。
クロロフィルはこの光合成に関わっている重要な物質です。葉っぱにクロロフィルがあることで植物は栄養を自分の体の中で作りだすことができます。
葉っぱに存在する色素はクロロフィルだけではありません。カロテノイドも葉っぱに存在する色素です。カルテノイドの色は黄色やオレンジ色です。
カルテノイドの黄色は普段はあまり気になりません。なぜならクロロフィルの量がカルテノイドの量に比べて多いためです。
しかし秋になるとクロロフィルが分解されるます。そのため残っているカルテノイドの黄色が目立ってきます。
これが黄色く紅葉する葉っぱのしくみです。
緑が消えて新たに他の色が作られるパターン:アントシアニンが葉っぱで作られる
さて次は、赤い紅葉のしくみについてです。
赤い紅葉はクロロフィルの緑色がなくなった後にアントシアニンという赤い色素が作られることによってできます。
このアントシアンニンという色素を作るためには糖(グルコース)が必要になります。
糖は光合成によって葉っぱで作られて体のほかの場所におくられていきますが、秋になると葉っぱの付け根に離層といわれるバリアをつくられます。
この離層が作られると葉っぱの枝との間の物質の移動がすくなっていきます。葉っぱの中に糖をたくさんため込むようになるものもいます。その代表的な植物がカエデです。
カエデは葉っぱにたくさんの糖をため込むので、その糖を使ってアントシアニンと作ります。そのためカエデの紅葉は鮮やかな赤になるのです。
離層は黄色く紅葉する木でも作られます。この離層は葉っぱが落ちるために作られるものでちょっとの刺激で簡単に葉っぱが外れるようにします。紅葉の後に葉っぱが落ちてくるのはこの離層が形成されるおかげです。
そもそもなんで紅葉するの?
紅葉のメカニズムを今まで見てきましたが、なぜ紅葉をいう現象が起こるのでしょうか?
これには季節と光合成の効率が関わってきます。
植物は、たくさんの光があり、気温が高い時に活発に光合成を行います。一方で光が弱く気温が低いときは光合成の効率が悪くなってしまいます。
そのため冬の時期はたくさん光合成することはできなくなってしまいます。
「効率が悪くてもエネルギーを作れるなら光合成すればいいじゃないか」と思う人もいると思いますが、植物はただで光合成が可能なわけではありません。
光合成するためにはそれなりの設備が必要になってきます。
この設備の1つがクロロフィルです。
形あるものが壊れてしまうようにクロロフィルも日々壊れていってしまいます。葉っぱがある植物は壊れた分のクロロフィルを合成するためにエネルギーを使っています。
たくさん光合成することができないと、トータルのエネルギー生産はマイナスになってしまいます。
そのため寒い冬では光合成の効率は悪くなるので、コストがかさんで葉っぱを維持すると赤字になってしまいます。
葉っぱを落とすことで無駄な出費をおさえて冬を耐えようというのが植物の生きる戦略です。
葉っぱが離層をつくり、クロロフィルの合成をやめて木の枝から落ちるまでの間を、私たちはきれいな紅葉として楽しんでいるのです。
まとめ
葉っぱにはいろいろな色素がありますが、紅葉に関わってくる色素は大きく分けて3つです。
- 緑色のクロロフィル
- 黄色〜オレンジ色のカロテノイド
- 赤色のアントシアニン
これらの色素の割合で私たちが目にする葉っぱの色が決まってきます。
- クロロフィルが多いと緑色
- カロテノイドが多いと黄色
- アントシアニンが多いと赤色
紅葉する葉っぱではクロロフィルが新たに作られなくなり、分解されていきます。
もともとあった黄色のカルテノイドが目立つようになったのが黄色の紅葉。新たに赤色のアントシアニンが作られたのが赤色の紅葉です。
今年の紅葉はちょっと詳しくなって紅葉を楽しんでみてはいかがでしょうか。植物の印象が少し変わってくるかもしれませんよ。
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