みなさん、生物学楽しんでらっしゃいますでしょうか?高校の授業で生物や生物基礎を学んでいるけど全然おもしろくない!なんて思っている人もいるかもしれません。そこで今回は大学で生物学を学んでいる私が生物学の魅力やおもしろさを紹介しようと思います。
生き物はブラックボックス
生き物は不思議です。
どうやって進化してきたのかはある程度わかってきましたが、どうやって生まれたのかはまだあまり分かっていません。
それにまだ人類は人工的に生命を作り出したことはありません。ロボットやAIというものを生み出しつつありますが、完全な生命を生み出すことはできていません。
なぜなら人類は生命についてまだまだ知らないことがたくさんあるからです。
物理や化学に比べてもまだまだ分からないことがたくさんあるといわれています。高校の教科書を例にとって考えるとわかりやすいです。
物理や化学はかなり成熟した学問なので、高校レベルの教科書は20年前とさほどかわっていません。
しかし生物の教科書はかなり変わっています。
20年前の教科書にiPS細胞の話は全くのっていませんが、いまでは常識のように教科書にのっています。ノーベル賞でも物理学や化学賞に比べて生理学医学賞は一般人でも分かる内容が多いと思います。
このように身近な疑問もまだよくわかっていないなんてことがゴロゴロあるのが生物学の面白いところです。
生き物の不思議さ
自律的に動いている生命
人間はまだ80年も動き続ける機械を作れていません。
しかし生き物であるヒトは80年の長い時間を生きることができます。
これは自律的に動くことができるからです。
生き物の不思議なところは個体1つ1つ、もしくは細胞1つ1つがある程度自動的に働くことができるところです。
このような自律的に動いている生命のシステムを目の当たりにすると、「生き物はとても良くできているなぁ」と思います。
よくできている生き物のからだ
「タイムマシーンがほしかったらタイムループする生き物を真似すればいい」と言っている人がいました。
さすがに生き物がタイムループしている可能性は限りなくゼロに近いとおもいますが、生き物はなかなかミラクルなことをやっていると思います。
例えばTEDの講演のなかには量子力学的にすごい生き物の話があります。
これ以外にも、ノーベル賞をとったクラゲの蛍光タンパク質、抵抗の少ないカワセミのくちばし、ハスの葉っぱの撥水機能などなど……いろいろな機能を持ったものが生き物から発見されてきました。
こうした生き物の素晴らしい発明品は、私たちの身の回りのものを作るために役立てています。
高速で走る新幹線の頭の形はカワセミのくちばしの形をまねて作られていますし、雨具や傘の生地にかける撥水スプレーにはハスの葉っぱの撥水機能からヒントを得て作られているものもあります。
美しい
美しさは学問の本質的な魅力です。生物学も美しいと思ってしまうことはたくさんあります。
「もの」が存在する
学問の多くは現象を説明するためのものです。
でも数学のように抽象的であったり、物理学でいう波のように目に見えないことをあーだこーだを議論しているものも多いです。光とは粒子であり波動であると言われてもピンときませんよね。
一方で生物学は多くの現象を目で見ることができます。
遺伝子の働きは実際の生き物を観察することでわかります。
そして遺伝子はDNAという実態、つまり「もの」があります。
近年の分子生物学ではこの生命現象を動かしている「もの」は何かということを明らかにしてきました。複雑な生命現象を「もの」としてはっきりと理解できるのは、わかりやすく美しさを感じます。
進化によって生み出された多様性
この地球上にはたくさんの種類の生き物がいます。
この生き物たちはもともとは同じ種の生き物で、長い年月をかけて進化してきたと考えられています。
全然似ていない生き物たちがもともと同じ種だったことにも驚きですが、それが進化という1つの概念で説明できてしまうのはすごいことです。
まとめ
今回は生物学の魅力について紹介してみました。
生き物たちはまだまだ分かっていないことも多いですが、とてもうまく作られた体で、自然界を生きています。
今回取り上げた以外にも生物学のおもしろいところはたくさんあります。
また当たり前のことかもしれませんが、これを読んでいる読者のあなたも生き物です。
細胞からできていて、その細胞には親から受け継いだ遺伝子が入っています。
そう考えてみると、普段何気なく聞いている生物学がもっと身近に感じるのではないでしょうか。
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