ノンコーディングRNA(non-coding RNA; ncRNA)とはなんでしょうか?RNA分子ということはわかるけど、ノンコーディングってなんだ??となっている人もいるのではないでしょうか。
ノンコーディングRNAの中にもいろいろ種類があります。rRNA、 tRNA、lncRNA、miRNAなどなど。
いろいろ種類があって、いっそう分からなくなってしまいます……
今回はそんな疑問を解決できるようにノンコーディングRNAについて分りやすく解説していきます!
ノンコーディングRNAとは?
ノンコーディングRNA(non-coding RNA; ncRNA)とは、タンパク質に翻訳されないRNAのことです。よく知られているmRNAはタンパク質の情報を運ぶために作られて、タンパク質に翻訳されます。一方でノンコーデングRNAはタンパク質にならず、RNAのままで機能を持っています。
ノンコーディングって、タンパク質の情報をコード(記録)していないってことなのね!
ノンコーディングRNAの多くが遺伝子の情報伝達に関わっていることがわかってきました。
今回はタンパク質合成に関わるrRNAとtRNA、遺伝子の発現を調節する役割があるlncRNAとmiRNAについて紹介しようと思います。
タンパク質合成に関わるノンコーディングRNA
遺伝子の情報伝達は、DNA→RNA→タンパク質にいう流れになっています。
この流れの一番下流がタンパク質合成になります。
rRNA
rRNA(リボソームRNA)は細胞の中のタンパク質工場であるリボソームを構成するRNAです。
リボソームはrRNAとタンパク質でできています。rRNAが骨格となってそのまわりにタンパク質がたくさんついています。
mRNAが運んできた遺伝子の配列情報を元にアミノ酸をつなげてタンパク質を作ります。
rRNAは生命現象の担い手であるタンパク質を作るという生命にとってとても重要な役割の一部をになっているのです。
tRNA
tRNA(転移RNA)はリボソームにアミノ酸を運ぶRNAです。
コドンとアミノ酸の対応表をよく見かけますが、どうやってmRNAの暗号をアミノ酸に書き換えているか不思議に思ったことはありませんか?
実はコドンのRNA(mRNA)とぴったりくっつくことができるtRNAが指定のアミノ酸を運んできます。
tRNAは、mRNAのコドンと相補的に結合できるアンチコドンを持っています。tRNAにもコドンと同じだけ種類があり、それぞれ決まったアミノ酸と結合します。
tRNAはタンパク質を合成しているリボソームまでアミノ酸を運んで、自分の中のアンチコドンとmRNAのコドンが結合できたとき、アミノ酸をポリペプチド鎖の末端にくっつけます。そうすることで正確にアミノ酸がつながっていき、タンパク質が作られていきます。
遺伝子の発現をコントロールしているノンコーディングRNA
タンパク質の合成に関わるRNAを2種類紹介しましたが、次は遺伝子の発現をコントロールしているRNAについて紹介します。
lncRNA
lncRNA(long noncoding RNA; 長鎖ノンコーディングRNA)は文字通りノンコーディングRNAの中でも長いものを指します。
長さは200塩基以上で他のノンコーディングRNAに比べて長いのが特徴です。
哺乳類の細胞の中ではたくさんのlncRNAが作られていることがわかっています。
その中には遺伝子の発現の制御に関わっているものもあります。
そんなlncRNAの中には、がんの治療や発見に使えるかもしれないとも言われています。
miRNA
miRNAはRNA干渉という方法で遺伝子の働きをコントロールする短いRNAです。
RNA干渉とは転写の後、作られたmRNAを邪魔することで遺伝子の発現を抑える現象のことです。
miRNAがmRNAに結合すると、翻訳の段階に進まない状態になるか、分解されてしまいます。どちらの場合でも翻訳を起こりません。そうすることで遺伝子がタンパク質になって働くことを抑制します。
まとめ:タンパク質の情報を持つRNAが全てではない
今回はノンコーディングRNAについてまとめました。学校で一番最初にならうRNAがmRNAなので、RNAはタンパク質を作るために遺伝子の情報を書き写したものをいうイメージが強いのではないでしょうか。
しかしRNAはmRNAのようなDNAの情報をかき写しただけのメモ用紙のような役割だけはありません。
遺伝子の発現をコントロールするという大きな役割も持っています。
遺伝子の発現が変われば生き物の細胞の中の状態が大きく変わる可能性があります。
RNAは生命にとって重要な役割を持っているのです。
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