進化って本当に起こっているの?進化が起こっている証拠を紹介

生物学

進化って本当に起こっているのか?

進化の概念が登場してからずっと言われ続けてきた疑問です。

たしかに進化を直接目で見ることは難しいですが、進化が起こった証拠はたくさんあります!

自然選択説は検証されていますし、生き物の形の記録やDNAの塩基配列から進化が起こっているということは確認できます。

今回は生物学において重要な進化の概念の証拠について紹介していこうと思います。

進化ってなにという方には、定義から解説しているこちらの記事を参考にしてください〜

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進化が起こっている証拠

自然選択説の検証

自然選択説を検証した事例があります。

オオシモフリエダシャクという蛾が、環境の変化によって体の色が進化したという事例です。

これは有名な話で高校の教科書にも出てくるお話です。

この蛾の体は、個体差はありますが、もともと多くの個体が白っぽい色をしていました

住処にしていた樹木の幹が白かったために体が黒いと目立ってしまい、外敵に食べられてしまうからです。
一方で白い個体は見つかりにくいため食べられにくく、多くの個体が白かったというわけです。

しかしこの蛾の住処となっていた森の近くの町で工業が栄え始めると、大気汚染が発生して樹木がすすけて黒くなってしまいました。このことによって白い個体ほど捕食者に見つかりやすくなり、食べられてしまったため、体が黒に近い個体が多くなりました

工業暗化。縦の列は同じ色の個体で、背景の色が変わると見つかりやすさが変わる。


以上が自然選択によるオオシモフリエダシャクの進化のお話です。

これは工業暗化と呼ばれる現象で、たくさんの研究者によって検証されましたが、今では事実として受け入れられています。

50年も前から自然選択の例として使われてきましたが、いまだにシンプルでわかりやすい例だと言われています(Majerus, 2009)。

ミッシングリンクの発見

蛾の体の色のお話は、短い期間の進化についての証拠でした。

しかし生き物の歴史はとても長いです。何千年何万年というときを経た進化もあります。このような進化は化石の記録からたどることができます。

魚の仲間から陸上で生活する動物(四肢動物)が生まれたと言われていますが、その根拠はどのようにすれば得られるでしょうか?

このような場合の解決策として中間的な特徴を持つ生き物の化石を探すというものがあります。中間的な特徴を持つ生き物はミッシングリンクとよばれ、その化石が出てくれば、進化が起きたということに対する説得力のある証拠になります。

実際魚と陸上で生活する動物の中間的な特徴を持った生き物の化石は出土しています。2006年に科学誌Natureに報告されたこの化石はティクターリクTiktaalik)と名ずけられ(Daeschler et al., 2006)、魚の特徴である鱗やヒレ、えらを持っています。しかしヒレの中には体を支えることができるしっかりとした骨格がありました。これは陸上で生活する生き物の特徴です。魚と陸上で生活する動物のどちらの特徴も備えた生き物がティクターリクなのです。

化石による記録はどのような生き物が過去に存在したのかということを示してくれるので進化を考えるときに重要な証拠になります。

しかし、すべての生き物が化石として残るわけではありませんし、骨のように土の中で残りやすいものしか残らないので、情報不足になってしまうこともあります。

今生きているものの相同性

化石は生き物が石となって残った記録ですが、実は生き物自体が進化の痕跡を持っています。

生き物には相同性(homology)があります。

これは同じ祖先から生き物が進化したことの証拠1つです。

哺乳類の骨格を考えるとわかりやすいです。

哺乳類は大きさや生活の仕方が様々で、骨格も一見すると全く異なっているように見えます。

しかし前足の骨格について見てみると、個々の骨に大きさや太さは異なっていても構成している骨の数や骨の配置はほとんど同じです。このような相同性からもともと1つの共通祖先から哺乳類は多様化していったと考えることができます。

哺乳類の前足の骨の構成はほぼ同じ

またDNAレベルでも相同性を考えることができます。たくさんの生き物のDNAを集めてその塩基配列を比べると哺乳類の仲間同士や爬虫類の仲間同士では塩基の違いは少なくなります。

DNAレベルの共通性が高いことから哺乳類が共通祖先の段階で1つだった(共通する祖先がいた)と考えられます。

DNAの塩基配列の違いはさらに系統関係を考えることもできます。

哺乳類の中でもサルとヒトのDNAの塩基配列の違いは小さいですが、これに比べてヒトとコアラの違いは大きくなります。塩基の突然変異はごく稀に起こるため、違いが少ない種は最近まで同じ種であったと考えるとつじつまが合います。

サルとヒトは最近まで1つの種で、その種はさらに時間を遡るとコアラの祖先とも同じ1つの種を構成していたと考えることができます。言い換えると、1つの共通祖先からまず最初にコアラの祖先が別れ、その後でヒトとサルの祖先が別れたと考えられます。

このように系統関係を考えていくと生き物がどのように進化してきたのかを知ることができます。

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まとめ

現代において、進化が生物学者の妄想にすぎないということはナンセンスです。進化が起こっている(起きた)というたくさんの証拠が存在します。

今回紹介した以外にも様々な実験や観察によって進化は起きていることは支持されています。

しかし長い年月を必要とする進化は簡単に全てを明らかにすることができないことも事実で、まだまだわかっていないこともたくさんあります。

これからの研究に注目です!

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引用・参考文献

  • Neil A. Campbell, Jane B. Reece, Lisa A. Urry, Michael L. Cain, Stevan A. Wasserman, Peter V. Minorsky, Robert B. Jackson “BIOLOGY A Global approach TENTH EDITION” PEARSON 2015 https://amzn.to/3dkITTl
  • Majerus, M.E.N. Evo Edu Outreach (2009) 2: 63. https://doi.org/10.1007/s12052-008-0107-y
  • Daeschler EB, Shubin NH, Jenkins FA Jr. 2006. A Devonian tetrapod-like fish and the evolution of the tetrapod body plan. Nature 440, 757–763. (10.1038/nature04639)

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