ウイルスは生物なのでしょうか?
毎年冬になると流行しているインフルエンザ、世界的に流行したコロナウイルス、アフリカで大量の死者がでたエボラウイルス。
ヒトが死んでしまう恐ろしい感染症には、ウイルスが原因のものがあります。
しかしウイルスとは一体なんなんでしょう?そもそも生物なのでしょうか?
今回はウイルスについて分りやすく解説していきます!
結論:「生物である」とも「生物でない」とも言いがたい
結論から言いますと、ウイルスは「生物である」とも「生物でない」とも言いがたいです。
はっきりしない答えですね笑
でもこれが現時点の人類の答えです。ウイルスを生物とするか、生物ではないとするかは、専門家の間でも意見が分かれるところらしいです。
ウイルスにはどういった特徴があるのか、じっくり解説していきたいと思います。
ウイルスの正体(構造)
まずはウイルスの正体をしるところから始めましょう。
ウイルスは遺伝子(を記録したDNAやRNA)とそれを包むカプシドというタンパク質からできています。
イメージは殻(タンパク質)におおわれた本(遺伝子の情報がのったDNAやRNA)です。
大きさはとても小さく一般的な細胞1個の大きさの100〜1000分の1ほどしかありません。
ウイルスの特徴
ウイルスにはいくつか特徴がありますが、ここでは3つとりあげます。
- 細胞を持たない
- 細胞に感染して増殖する
- 自分の体を作るための遺伝子以外をほとんど持たない
細胞を持たない
ウイルスは細胞をもっていません。
細胞は生物の基本単位と言われていて、ヒトもチンパンジーも植物も生物はみんな細胞をもっています。ちなみにヒトは37兆個細胞からできています。
微生物も細胞からできています。微生物の中には単細胞生物が多く含まれています。
しかし単細胞生物と言えども、1個の細胞からできています。
一方でウイルスは細胞はなく、遺伝子を記録したDNAやRNAをカプシドというタンパク質の殻でおおった構造になっています。一部のウイルスは生物から奪い取った細胞膜(エンベロープ)を身につけたものもいますが、自分で細胞膜を作ったわけではありません。
ウイルスは生物の基本単位である細胞をもっていないのです。
細胞に感染して増殖する
ウイルスは細胞に感染することで増殖します。
自分自身では増えることができません。
自分を増やすことを専門用語で「自己複製」と言います。
ウイルスは自己複製はしますが、それは他人任せ。
細胞に感染して、感染した細胞の道具を借りて自己複製します。
一方で生物はというと、ちゃんと自分自身の道具、力で自己複製(細胞分裂)します。ウイルスは自己複製するところは生物と似ていますが、そのやり方が生物と全く違っています。
自分の体を作るための遺伝子しか持たない
一般的にウイルスの持ってる遺伝子の数はとても少ないです。
ヒトの遺伝子の数が 20,000個から25,000個の間と言われている中で、ウイルスは2個から200個の遺伝子しか持たないと言われています。
こんなに少ない遺伝子でどうやって生き残っているのかというと、先ほど解説したウイルスは細胞に感染して増殖するということが関わってきます。
ウイルスは細胞の中にある道具を盗んで自分をふやすことができるので、少ない遺伝子だけで生き残ることができると考えられます。
最低限細胞に感染するための遺伝子と細胞の中でカプシドや自分の遺伝子を増幅させる遺伝子さえあればなんとかなります。他にも生物の中で免疫に抵抗するための遺伝子も持っています。
しかし生物はそうとはいきません。細胞を維持するための遺伝子や環境の変化に対して対処するための遺伝子などたくさんの遺伝子を持っています。
そのため遺伝子の数を比べると、ウイルスは生物より少なくなるのです。
究極のミニマリストと言えるかもしれません笑
まとめ:ウイルスは生物学的特徴と非生物学的特徴のどちらも持っている
これまで解説したウイルスの特徴をまとめると、
- 細胞を持たない
- 細胞に感染して増殖する
- 自分の体を作るための遺伝子以外をほとんど持たない
増殖する(自己複製する)というところや遺伝子をもっているところは生き物とよく似ていますが、他の部分は結構違います。
遺伝子ももっている数はとても少ないです。
つまり、ウイルスは生物学的特徴と非生物学的特徴の両方をもっていると言えます。
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